Hare blog

調べても調べてもすぐ忘れる… 育児・妊娠・出産関連の情報をまとめています 1000本以上の医学文献を読んできたので文献情報も付け加えながら…

ゾコーバで懸念される催奇形性って何?

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塩野義製薬が申請していたゾコーバ錠(エンシトレルビル フマル酸)が緊急承認されました。

 

以前より催奇形性のリスクがあることが言われていましたが、公表されているデータをまとめてみようと思います。

 

 

催奇形性とは

Wikipediaにおいて催奇性が以下のように定義されいます

催奇性(さいきせい、Teratogenesis)とは、ある物質が生物の発生段階において奇形を生じさせる性質や作用のこと。

 

 

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ゾコーバ錠における催奇形性のリスク

1.胎盤通過性

本薬及び代謝物は胎盤を通過し、胎児に移行することが示唆された。

https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf  より引用。

わかりやすいよう結果のみ引用しています。

詳しい数値等が知りたい方は上記リンクのPDFを参照ください。

P18に掲載されています。

 

 

 

2.乳汁中排泄

乳汁中放射能濃度は投与4時間後に最高値(1.75±0.25μgEq/mL、血漿中放射能濃度の1.25±0.21倍)を示し、その後、経時的に低下した

https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf  より引用。

わかりやすいよう結果のみ引用しています。

詳しい数値等が知りたい方は上記リンクのPDFを参照ください。

P21に掲載されています。

 

 

薬剤が乳汁移行することが確認されており、授乳中の方は注意が必要ですね。

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3.生殖発生毒性試験

主な毒性所見として、ラットにおいて胎児の骨格変異及びウサギにおいて胚・胎児死亡、胎児の軸骨格に奇形・変異、外表に奇形所見として短尾及び二分脊椎が認められた。

ラットの出生児において、全児死亡、生存率・出生率低下及び離乳後の性成熟遅延等の発育遅延に関連する変化が認められた。雄ラットにおいて、精巣上体の精子数減少及び精子活性・運動能低下等が認められたが、受胎能に影響しなかったことから、申請者は毒性と判断していない。

https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf  より引用。

わかりやすいよう結果のみ引用しています。

詳しい数値等が知りたい方は上記リンクのPDFを参照ください。

P27に掲載されています。

 

 

 

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4.胚・胎児への影響について

申請者は、胚・胎児への影響について、以下のように説明している。
ウサギを用いた胚・胎児発生に関する試験において認められた軸骨格の奇形について、ラットを用いた胚・胎児発生に関する試験では当該毒性所見は認められておらず、3CL プロテアーゼ阻害作用による影響を示唆する情報はないことから、ヒトへの影響が明確ではない。海外のガイドライン36)に基づくと「妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与しないことが望ましい」に該当することから、添付文書において、その旨の注意喚起を行う。


機構は、以下のように考える。
本薬は、ウサギを用いた胚・胎児発生に関する試験において、胎児の軸骨格及び外表に奇形を示唆する所見が認められたことから、潜在的な催奇形性リスクを有する。

ウサギ胚・胎児において当該毒性所見に対する本薬の無毒性量を投与した場合と、ヒトにおける本剤投与時の本薬の血漿中曝露量との曝露比は約 2.4 倍であり、十分な安全域を有しておらず(5.5 参照)、また、臨床試験の除外基準として、妊娠している可能性のある女性及び妊婦が設定されていたことから、妊婦への投与に関する安全性情報は得られておらず、ヒト胎児に対する安全性は確立していない。

また、本邦において、SARS-CoV-2 による感染症に対する治療薬で妊婦に対して投与可能な薬剤も承認されていることを考慮すると、本剤が承認される場合には、妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対する本剤の投与は禁忌に設定することが適切である。 

https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf  より引用。

わかりやすいよう結果のみ引用しています。

詳しい数値等が知りたい方は上記リンクのPDFを参照ください。

P33に掲載されています。

 

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これまでに催奇形性が報告されている医薬品

現在までに催奇形性が報告されている医薬品については、日本産科婦人科学会より出されているガイドラインにまとめられています。

 

 

産婦人科診療ガイドライン産科編2020より引用

(https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf

 

 

 

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まとめ

 

「妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対する本剤の投与は禁忌に設定することが適切である。」 とコメント記載があったように、今回の緊急承認の際も妊婦等は禁忌に設定されることとなりました。

 

少しでも妊娠の可能性がある場合は必ず医師に伝え、リスクを回避する必要があります。

また乳汁へ移行も認められていることから、授乳中のお母さんも医師にその旨を伝える必要がありますね。

 

 

妊活中などで少しでも妊娠の可能性がある場合は必ず医師にその旨を伝えましょう!