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【生後2ヵ月】4種混合ワクチン接種時期が前倒し その理由は?安全?

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この記事のポイント

この記事のポイント
  • 2023年4月より4種混合ワクチンの接種時期が生後2ヵ月からに前倒し
  • 目的は乳児の百日せきへの罹患と重症化予防
  • 5種混合ワクチンの臨床データより安全性に大きな差は確認されていない(未公開)

 

 

 

4種混合ワクチンとは

ジフテリア

百日せき

破傷風

不活化ポリオ

 

 

上記4種のワクチンを含むもので、1回の接種で4種類一度に予防接種を行うことができる利点があります。


生後2ヵ月より接種可能に

これまでは4種混合ワクチンは生後3ヶ月から接種を開始することとなっていました。

生後3ヵ月から1歳の間に最初の3回を接種し、3回目のあと1年~1年半後に追加で1回接種するといったスケジュールでした。

今回4種混合ワクチンの接種スケジュールが生後2ヵ月からに前倒しとなりました。

これにより生後2ヵ月に接種する定期接種ワクチンは以下の5種類となりました。

 

インフルエンザ菌b型(Hib)

小児用肺炎球菌

B型肝炎

ロタウイルス

4種混合

 

ちなみに…
冬に流行するインフルエンザはインフルエンザウイルスによるもので、このインフルエンザ菌b型とは異なるよ!生後6ヵ月から2歳の化膿性髄膜炎の起因菌でとても怖い!

 

 


なぜ生後2か月からの接種に変わったのか


百日咳に罹患した場合、最もリスクが高い生後6ヶ月未満の乳児の罹患と重症化を防ぐため

 


いつから

 

令和5年(2023年)4月1日より


変更となった背景

 

百日咳の感染報告をまとめたところ、百日咳は7歳を中心とした学童期に多く発生していました。
しかし入院症例の多くは乳児期が占めており、死亡例も乳児と高齢者に多かったとされています。

 

百日せきの発生状況

(厚生労働省HPより引用)

 

 

今回の前倒しでは学童期以降の疾病負荷軽減ではなく、乳児期の重症化予防を目的とするといったことが明言されています。

 

百日咳への対応案として、5~7歳で追加接種する案や、妊婦に追加接種する案も挙げられましたが費用対効果の面から詳細な解析が必要とされ、見送られています

 

 

 

案の1つとしてあがった「生後2ヵ月から接種開始」が、費用対効果が良好であるとして、今回採用されました。

 

 

抗体保有率について

 


ワクチン接種前の乳児期と5歳を中心とした幼児期に低下が見られています

5歳ぐらいのタイミングで抗体価がさがってしまうようです。

7歳児ぐらいで多く罹患報告がでているのにも納得です。

 

 

 

 

副作用・副反応の増加について


非公開ですが、開発中の5種混合ワクチンの臨床データを参考にしているようです。

5種混合ワクチンとは、現在の4種混合ワクチンにHibを追加したものです。

5種混合ワクチンが正式に発売になった際にはこのあたりの臨床データが公開されますので、公開され次第詳細を確認したいと思います。

 

 

 

臨床データについて


5種混合ワクチンを生後2か月から接種した群生後3ヶ月から接種した群のデータを確認しています


有効性について

→いずれの群においても発症防御レベルを大きく上回った

 

有害事象について

→両群とも有害事象の内容と割合に大きな問題は見られなかった

 

現在5種混合ワクチンの採用が検討されており、今回の4種混合ワクチンの接種時期前倒しは5種混合ワクチンの接種を現行のHibワクチンの接種時期である生後2か月に合わせる意味合いもあるものと思われます

 

 

百日せきってどんな病気?

  • 百日咳は感染力が非常に高い菌による感染症である
  • 主な症状は風邪症状と同様だが、特徴的な咳をする

→コンコンと激しい連続した咳(スタッカート)をし、息を吸い込むときにヒューヒューと音がする。

  • 潜伏期間は7~10日間
  • ワクチン未接種の乳幼児がかかると重症化しやすい

 

 

 

以下厚生労働省HPより引用

百日せきの主な病因菌は百日せき菌(Bordetella pertussis)であり、グラム陰性、
多型性の桿菌である。百日せき菌は飛沫や直接接触により感染する。基本再生産数(R0、感受性者の集団において1人の患者が感染させる人数)は 16-21 とされており、感染力は麻疹と同様に強い。
○ 百日せきの潜伏期間は通常7-10 日(6-20 日)である。病期はカタル期(1-2週
間;感冒症状)、痙咳期(3-6週間;乾性咳嗽と発作性の咳)回復期(6週間以降)の3つの病期に分けられる。ワクチン未接種の乳幼児が罹患すると重篤化しやすい一方で、成人が罹患した場合の重篤症例はきわめて稀である。 

(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000996883.pdfより引用)