1.出産予定日の決め方
一般的な計算方法:月経初日を0日とする
最終月経の初日を0週0日として計算し、40週0日となる日を出産予定日とする方法が一般的です。
月経周期が28日であった場合、月経初日から14日前後で排卵が起こるとされているため、妊娠周期でいうところの2週0日付近が排卵日であった可能性が高いです。
エコー写真が優先される例:CRLの値から計算する
生理周期が不規則な場合は、エコーによって測定されたCRLの値で週数を特定し、そこから出産予定日を計算します。
産婦人科学会 産科ガイドラインにおいても、
月経歴と最終月経より推測された妊娠週数と、超音波計測値が乖離する場合は超音波計測による予定日を優先することとした。
と記載されており、月経日よりもエコーによるCRL数値が優先されていることがわかります。
月経周期からの予測と、エコー写真からの予測の間に4日以上のずれがある場合にはエコーの結果が分娩予定日として決定されることが多いようです。
なぜCRL値が使用されるのか
日本産婦人科学会のガイドラインにおいて以下のように記載されているように、8週〜11週のCRLはほぼ個人差がないとされているため、CRL値が妊娠週数を決定するのに用いられます。
日本超音波医学会(JSUM)の基準値は,CRL の計測値が 14~41mm(妊 娠 8 週 1 日~11 週 2 日)範囲で±3.9 日の誤差で,実際の妊娠週数との乖離が最も少ないと報告されている
ガイドライン|公益社団法人 日本産科婦人科学会
エコーでCRLを見てもらった際に自動で予定日が表示されるかと思いますが、この数値は日本超音波学会の出している基準値が元になっています。
2.生理周期に個人差がある理由
生理周期の長さの違いは、排卵日までの日数の違い
生理周期は正常24日~38日とされています。
人によって異なる生理周期ですが、期間の長さに最も個人差があるのが卵胞期です。
(ちなみに閉経が近づくと卵胞期は短くなっていく傾向にあります)
卵胞期:平均13~14日 月経開始から排卵が起こるまでの期間を指す
排卵期:16~32時間
黄体期:平均14日 個人差がほぼない期間となり、黄体の退化に伴ってプロゲステロンの分泌が低下し次の月経が開始する
つまり排卵日までの日数に違いがあるだけで、排卵日から次の月経開始まで約14日というのはどの生理周期の人でも変わらないということです。
排卵によって放出されるホルモンが月経を引き起こすきっかけとなっているのですね
3.分娩予定日にズレが生じた実例(体験談)
背景と、出産予定日が変更になった経緯
妊活をしっかり行って授かった場合だと、多くのケースでは基礎体温や排卵検査薬などで排卵日が推定されていたり、生理周期もある程度掴めていることが多いです。
CRLと排卵日のズレが生じた例をご紹介します。
まず、生理周期が26日であることから、排卵日までが12日前後で排卵後月経開始までが14日前後であることがわかります。
そのため、排卵日は最終月経開始日の12日後である、6月17日と推定されます。
排卵検査薬を用いた結果も6月16〜17日と大きなずれはありません。
しかし8w1dでのエコー検査ではCRLが18.5mm。
この表でもわかるように、基準値で見ると8w5dに近い数値です。
(日本超音波医学会用語診断基準委員会:超音波胎児計測の標準化と日本人の基準値.日超医誌 2003;30:J415―J440(II)より引用)
4日以上のずれがあるため、エコー検査の結果が優先され分娩予定日が決定となりました。
月経から予測される出産予定日と、エコー検査により予測される出産予定日が4日以上異なる場合はエコー検査による出産予定日が優先されます
問題なのは排卵日が月経開始7日だったこと
しかしながらその場合、排卵日は6月12日と推定されます。
6月5日に月経開始で、排卵日が6月12日。
つまり月経開始から7日で排卵したこととなりますね
排卵検査薬の反応を考えても、月経開始7日での排卵は少し無理がありますね。
実際に助産師さんも
「メカニズムを考えても月経開始から7日で排卵は考えづらいですね・・・」
と話されていました。
CRLを優先すべきと理解はしていても、なかなか納得は難しいですね。
4.まとめ
出産予定日は一度決まるとその後の変更はほぼ行われません。
そのため産婦人科医の先生方も慎重に決定されます。
なにはともあれ出産予定日が決定するとスケジュール感がでてより一層わくわくが増してきますね