フッ素の効果的な活用法:子どもに適切な濃度と開始時期

子育て

フッ素の効果と重要性

子どもの歯は成長途中で、虫歯にかかりやすい傾向があります。

そこで、虫歯予防に効果的なのが「フッ素」です。

フッ素は歯を強化し、虫歯の発生を抑制してくれる成分です。

フッ素は自然界にも存在し、歯を守る働きがあります。

歯科で使用される主成分は「フッ化ナトリウム」で、これは安全性が高く、歯に良い影響をもたらします。

フッ素の3つの効果

フッ素の効果は大きく3つにわけられます。

①酸が作られるのを抑える

②再石灰化を促進する

③歯の質を強化する。

酸は虫歯の原因となるので、酸が作られるのを抑えてくれることで虫歯予防につながります。

再石灰化を促進することで、歯にできた微小な傷を修復し、健康な歯を維持してくれます。

また、「歯質強化」によって歯を丈夫にし、虫歯に負けない強靭な歯にします。

虫歯の影響する要因は大きく分けて以下の3つであるとされています。

①細菌(ミュータンス菌)

②糖質

③歯の質

①細菌(ミュータンス菌)

:歯垢(プラーク)となって歯の表面に付着し、糖質から酸を作り出します。その酸が、歯の成分を溶かして歯をもろくしてしまいます。

②糖質

:糖質(特に砂糖)は、ミュータンス菌が酸を作る材料に使われます。歯の表面が酸にさらされる時間を短くするためにも間食や甘い飲み物を避けることが大切です。

③歯の質
:歯が作られる時の環境の違いなどで個人差がありますが、エナメル質や象牙質の状況(=歯の質)によって、むし歯になりやすい人もいます。特に乳歯や永久歯が生えたばかりの子どもは注意が必要です。

フッ素によってこの部分を抑えることで虫歯の予防につながるのです。

フッ素塗布の方法

歯科医院でのフッ素塗布は、特別なジェルを歯に塗布して行います。

お子さんの歯に虫歯がない状態でも、3~4か月おきに歯の検診をすることが推奨されています。

この際に「フッ素を塗布(とふ)してもらいたいです」と伝えれば、フッ素を塗ってくれます。

歯ブラシで塗ってもらうものなので、普段から歯磨きに抵抗のないお子さんであればすぐに終了します。

自宅でのケアとしては、フッ素入りの歯みがき粉を使うことが重要です。

これによって日常的なフッ素ケアが可能です。

フッ素入りの歯磨き粉については2022年に推奨量が変更となりました。(5歳までは推奨量500ppmF→1000ppmFへ変更)

フッ素の安全性について:アメリカでは6歳未満は推奨されない?

フッ素は適切に使用される限り安全です。歯科医院で使用されるフッ素は、安全基準に適合しており、心配する必要はありません。

フッ素の安全性について調べているとすぐにでてくるのが、日本消費者連盟・弁護士連合会でもその危険性について意見書をだしているという情報です。

内容を見てみると以下のようなことが記載されていました。

1.米国歯科医師連盟(ADA)は「6歳未満の子どもに勧められない」と指摘している

2.薬事法違反の疑いがある

3.自己決定権の侵害とインフォームド・コンセント(説明と同意)の原則に反する

ここでADAが6歳未満の子供に推奨できないと指摘している点についてですが、どうやら生活環境の違いがそのような違いを生み出しているようです。

アメリカをはじめとする世界61か国ではフロリデーションというものが行われています。

簡単に説明すると水道水にフッ素を添加することで多数の人に虫歯予防を行おうとするものです。

つまり日常生活の中でフッ素を摂取する機会が頻繁にあるということですね。

したがってこのADAのだしている見解というのはフロリデーションを行っていて過剰摂取の可能性が考えられる地域でのみあてはまるのではないかと思います。

日本はこのフロリデーションを行っていません。このあたりの話は奈良県の歯科医師会がQ&Aでまとめられていましたのでそちらをご参照ください。

適量を正しく使うことが大切ですね

フッ素入り歯磨きについて

フッ素入り歯磨き粉の使用割合

フッ素入りの歯磨きは世界でも使用されている割合が非常に高いです。

市場占有率は2010年に90%に達して以降、継続して90%を超えています。

「健康日本21」というものをご存じでしょうか?

簡単に言うと厚生労働省がだしている国民の健康を推進していくための目標などをまとめたものです。

その健康日本21の中でこんな目標が掲げられています。

学齢期におけるフッ化物配合歯磨剤の使用率を90%以上に

実際に2010年の学齢期のフッ素入り歯磨き粉使用率は、89.1%と報告されています。

いつから使う?:目安は上下の歯が生えてきたら!


フッ素を塗るかどうか悩むのは1歳半健診などでそろそろフッ素を始めましょうという話をされるタイミングが多いようですね。

実際にいつからフッ素を塗るべきなのか、歯にいいとなんとなくは知っているけどこどもの口に入っても大丈夫なものなのか心配になりますよね。

日本小児歯科学会では、こどものフッ素塗布を推奨しており、開始時期として以下のように記載しています。

歯が生えた後、唾液中に含まれるカルシウムが歯に付きさらに硬くなります。だから生えて間もない時期の歯は、まだ十分に硬くなっていないためむし歯になりやすいのです。フッ化物は、歯を硬くする作用があり、乳歯・永久歯に関わらず生えた直後に塗るのが最も効果的です。まずは下の前歯が生えてきたころから定期的に歯科へ通い、上下の前歯が生えてきたらフッ化物の塗布を行ってみてください。また、うがいができない年齢でもフッ化物を塗布することは可能です。ただし、フッ化物はむし歯予防の万能薬ではありません。塗ったからといって安心せず歯みがきの習慣やきちんとした食生活をすることです

引用:子どもたちの口と歯の質問箱|日本小児歯科学会

つまりフッ素の開始時期としては上下の前歯が生えてきたらというのが一つの目安となりそうですね。

安全性等心配されるケースもあるかと思います。普段の歯磨き粉としてフッ素入りのものを使い始めるのはじぶんで歯磨き後にゆすぐことができるようになるというのが使い始めの目安となりそうです。

まとめ

フッ素ケアは子どもの歯をしっかりと守るために不可欠です。

定期的な歯科検診や歯磨きの習慣と合わせて、虫歯予防をしっかりと行いましょう。

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