赤ちゃんのうつぶせ寝はなぜ危険?:SIDSについて学ぶ

子育て

SIDSとは乳幼児突然死症候群のことです。
小さなお子さんを育てていると、見たこと聞いたことのある言葉かと思います。
お子さんが小さいと、寝ているときは不安で何度も呼吸を確認したり、うつ伏せになっていないか確認したりと不安が絶えないですよね。
この記事ではSIDSを防ぐポイントや、温めすぎのリスクについてお伝えしています。
リスクは0にはなりませんが、できる対策をして可能な限り0に近づけていきましょう。

SIDS:乳幼児突然死症候群 の原因と3大リスク

SIDSとは、乳幼児突然死症候群のことで、予兆や既往歴もなく、原因がわからず乳幼児が突然死してしまうことを指します。
うつぶせ寝等による窒息死はSIDSには該当しません。

SIDSの原因

SIDSがなぜ起こるかはまだ判明していません。しかしながSIDSを起こしやすい月齢や環境というものが少しずつ分かってきています。
リスクを少しでも減らすことが大切です。
また、一説にはうつ熱が原因ではないかと言われています。

SIDSのリスクとして知られているものとして以下の3つが挙げられます。

  1. うつぶせ寝
  2. 非母乳育児
  3. 同居家族の喫煙

SIDSの予防法



SIDSの予防法は確立していません
しかしながら以下のことを守ることで発症のリスクを下げることができるとされています。

あおむけで寝かせる
寝かせるときにうつ伏せにするとSIDSの発症リスクが高まることがわかっています

母乳で育てる
ミルクが悪いわけではなく、母乳で育てられている赤ちゃんの方がSIDS発症リスクが低いことがわかっています。
母乳育児により、保護者があかちゃんの状態を確認する機会が多かったり、体温が上がりにくかったりすることが要因ではないかと推察されています。

同居家族の喫煙を控える
母親だけでなく、同居している家族がたばこを吸わないことが大切です。
たばこのけむりは呼吸器に悪い影響を及ぼします。

もちろんミルクそのものが悪影響を与えるわけではないですし、お子さんの状態によってはうつ伏せ寝が推奨される子もいます。

また、理由はまだわかっていませんが、昼間の起きている時間帯にうつ伏せで遊ばせる時間を作ってあげることがSIDSのリスクを下げると言われています。

お子さんの発達状況にあわせて、無理のない範囲で少しずつ慣らしていってあげたいですね。

なぜうつぶせ寝・非母乳育児・喫煙がSIDSのリスクとなるのか

うつぶせ寝・非母乳育児に関しては共通して体温が上がるという側面があります。
ミルクだから必ず体温が上昇するわけではなく、母乳であっても母親と接することで一時的に体温があがると言えるかと思います。

しかしながら高温のミルクやうつぶせ寝により体温が上昇し、その熱が体内にとどまること(うつ熱)で呼吸器に影響するという可能性はありそうです。

実際に厚生労働省のサイトにも以下のことが掲載されています

病理学的所見から発症前の慢性低酸素症の存在が示唆されたことから、睡眠中に無呼吸を繰り返すことが慢性低酸素症の原因ではないかと考えられ・・・

引用:乳幼児突然死症候群(SIDS)診断の手引き 改訂第2弾

暖めすぎがSIDSのリスク増加に寄与する

また最近では熱が体にこもることがSIDSの原因とされる論文も多く発表されています。

⚫︎室内で暖房を使用することが乳幼児突然死症候群のリスクを高める(Factors potentiating the risk of sudden infant death syndrome associated with the prone position A L Ponsonby et al. N Engl J Med. 1993.) 

⚫︎暖めすぎが乳幼児突然死症候群のリスク増加に関連するといったこと(Interaction between bedding and sleeping position in the sudden infant death syndrome: a population based case-control study. BMJ. 1990 Jul 14; 301(6743): 85–89.)

SIDSは冬に起こりやすいとされていることから11月が対策強化月間に指定されています。

これも冬になって寒くなり、服を着せすぎる・暖房器具を使いすぎることによってSIDSの発症が増加している可能性があります。

いつまでうつぶせ寝を避けるべきか


米国小児科学会では寝返りと寝返り返りができるようになるまでは、あおむけに戻すべきとしています。
厚生労働省では1歳まではうつぶせ寝をさせるべきではないとしています。

うつぶせ寝の方がよく寝る赤ちゃんもいるけど、そこは慎重になりますね

生後2~3ヵ月が発症のピーク

SIDSの発症時期について厚生労働省のサイトには以下のように記載されています。

生後2~3ヶ月に発症のピークがあり、生後1か月未満および6ヵ月以降には発症が少ない。我が国の発症頻度は出生1000に対し約0.2~0.3であり、約4000人に1人程度となる。

(引用:乳幼児突然死症候群(SIDS)診断の手引き 改訂第2弾)

SIDSの発生数は減少傾向にありますが、令和4年のSIDSによる死亡者数は47名であったと報告されています。
平成9年のSIDSによる死亡者数は538人であったと報告されているため、25年間で減少してきているがわかります。

SIDSは原因不明の疾患ではありますが、少しずつ原因解明に向けた研究等がされており、予防ポイント等もピックアップされることで実際の死者数は減ってきています。

いつかこの疾患の原因が解明され、 明確な予防策が打ち出されるようになればお母さんも安心して眠る時間を確保できるのかもしれないですね。

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